こんにちは、電験三種合格者のたまきです。
「電験三種は過去問だけで合格することはできないの?」
「電気工事士など合格率の高い資格と比較して気をつけるべき点は?」
今回は電験三種における過去問の解き方、解くだけでは合格できない理由を解説していきます。
また、合格者の立場から、不合格だった時期と比較して、どのように考え方を変えれば合格できるのか。有効的な過去問の使い方ができるのかを解説していきます。
目次
電験三種の過去問を解くだけで合格できない4つの理由
さっそく、過去問を解くだけではだめな理由を一つずつ解説していきます。
理由その1:電験三種では過去問と全く同じ問題は出ない
過去問と同じ問題は出ない。というのは、電験三種の特徴でもあります。
例えば電気工事士の場合は、過去問と同じような問題も出ます。しかし、電験三種の場合は、過去問と全く同じ問題はでません。
そのため、応用力がどうしても必要であり、同じ問題が出ないため、基本的な知識を土台として身につける必要があります。
こちらの記事にも書かせていただきましたが、電気工事士などの入門資格とは意識を変える必要があります。
理由その2:過去問だけでは応用力は身につかない
当たり前の話をあえてさせていただきますが、電験三種に応用力は必要不可欠です。
数学力、電気の基礎などの土台が必要なだけではありません。同じ問題が出題されないため、基礎だけでは合格できません。
土台となる基礎と、応用力。これらを身につけるためには、過去問のように知識が体系的にまとめらていない解説では不十分です。
理由その3:過去問には数学力を鍛える問題がない
過去問はあくまで4科目分を収録した問題集のため、電験三種で必要不可欠の数学の問題はありません。
もし、電験三種に必要な数学力が身についていない場合、数学を学ぶことから始めなくてはいけません。
過去問では数学がある程度理解している前提で解説が書かれていることが多いです。
ですから、数学を理解していない状態で過去問題を解くことはできません。
よって、過去問だけでは合格できません。
理由その4:学べる知識が体系的ではない
一般的な参考書や通信講座のテキストは分野ごとに知識が整理されています。理論であれば、電気回路・磁気回路など分野ごとに目次が別れています。知識を自分の頭の中で整理しやすいのです。
しかし、過去問題集では年度ごとに出題される分野がバラバラです。つまり、一般的なテキストのように知識を整理できません。
記憶術など知識を効率的に記憶する方法を学んできました。その私から言えば、知識を吸収させるには、知識が体系的にまとめられていることが重要です。
ですから、過去問だけの対策では、知識を効率的に吸収することができないのです。
電験三種における過去問の正しい使い方
すごく当たり前の話ですが、電験三種の合格に必要不可欠なのは過去問です。
しかし、過去問は有効な使い方をしないと、十分な学習の向上は見込めません。
ですから、過去問の正しい使い方を知ることで、時間を有効に使えるようになるはずです。
時間を徹底的に測る
時間を測るというのは勉強の基本中の基本です。絶対に時間測定は行うべきです。
通常の基本書を解く場合だと、時間を測らないというのはおすすめできません。
過去問に関して、時間を測らずに解くというのは論外です。
過去問も本番と同じように望むべきです。1問あたりどのくらいの時間がかかっているのか。
これが分からないことには、本番に近づけなければならない実力からどれだけ離れているのか測ることができません。
付箋(ふせん)を使う
間違えた問題が出た時、あなたはどうしているでしょうか?
ふせんを使っていないのであれば、今すぐ使いましょう。
試験勉強は時間との戦いなので、間違えた問題、解説をすぐ見られるようにしておくのは重要です。
このようにふせんを使えば、時間をかけず、解説のページをすぐに開くことができます。
また、付箋は同じものを使わず、目的に応じて色分けして貼ると良いでしょう。
- 一回間違えた問題は黄色
- 3回以上間違えた問題は赤色
というふうに、間違えた回数によって、使用する付箋の色分けをしていました。
分からない問題について、今は解かないと判断する
間違えた問題を後回しにするのではなく、必要な知識を再確認しましょう。
分からない問題を分からないまま放置すると、いつまでも合格できる実力は身につきません。
しかし分からない問題にこだわっていると、時間だけが過ぎていきます。
そこで、分からない問題を分別するのです。あやふやではなく「今は解かない」という選択を意識的にして下さい。
答えの番号を覚えないようにする
電験三種はマークシートの用紙に記入します。選択肢の番号を選ぶタイプの試験です。
したがって、番号を覚えてしまうと、問題がわからなくても正解してしまいます。
問題の答えを番号で覚えて解くことは、実力がつかなくなるのでやめてください。
たまたま正解した問題については不正解とみなす
定着していない知識で正解できるということがたまにあります。
たまたま覚えていたというのは、やっかいです。
まぐれで解けたとしても、知識が定着していないので、本番では不正解になります。
覚えていたり、覚えていなかったりと、知識が定着していません。
この覚えたつもりをなくすためには、
どれだけ間違えたのか、間違えた回数を書き込んでおくと良いでしょう。
自分の場合「正」の字を書いて、間違えた回数を書き込んでいました。
こうすることで、沢山間違える=知識が定着していない問題をあぶり出すことができます。
電験三種の過去問の出題のくせと傾向
電験三種は初めて見たと思わせる問題を出してきます。
しかし、よく見ると、過去問で出てきた知識を使っています。
あまり勉強していない人は共通点は分からないでしょう。しかし、勉強した人は似たような過去問題と結びつける事ができます。
ただ解くだけではなく、知識を頭の中で整理しながら勉強します。すると、
「この問題は過去問と同じ知識を問う問題ではないか?」
という視点で問題を見ることができるようになります。
「この問題で問われている知識はなにか?」
という目線で見ることができます。
すると、初めて見た問題でも問題が解けるようになるのです。
過去問題の類題だけが出されるわけではありません。しっかりと自分の頭で考え対処する能力も必要です。
そのために、一見初見と思われるような問題を出して、そこから正しい答えを導き出すための基礎知識を身につけるべきです。
同じ問題が出ないという傾向を知っておけば、丸暗記的な勉強を避けることができます。
過去問で科目別に意識するポイントを解説
科目によっては意識すべきポイントが微妙に違います。過去の受験経験を元に意識すべきポイントを書いておきます。
理論
理論はすべての科目の基礎です。
そして、過去問においては、毎年1問程度解くことがかなり難しい問題が出ます。
こういった超難問は電験三種レベルの知識を相当深くまで勉強していないと解けません。そういった超難問に惑わされない意識が必要だと感じました。
また、解説に関しても、電験三種のレベルを越えていると感じるものもあります。ですから、超難問はある程度で見切りをつけ、解ける問題を絶対に落とさないという意識で過去問に取り組む必要があります。
電力
電力は計算問題と知識問題がバランスよく出される科目です。
自分が過去問を解いてきた上で気をつけた点は、バランス良く問題を解くということです。
計算が得意な人は、計算ばかり。暗記が得意な人は暗記ばかり。得意な問題ばかりを解いてしまいがちです。
どちらか一方にかたよることなく、過去問を愚直にこなしていくというのがベストです。
そして文章問題では穴埋めだけではなく、穴埋め前後の単語についてもよく確認しておくことです。
機械
機械については、理論以上に、回路の知識や機器の仕組みなど深い理解を必要とします。
よって、過去問を解く際にも、なぜそうなるのか?を自分で説明できるようになるまで徹底的に詰めました。
機械に関しては他の科目より、段違いで計算問題が難しいです。意識的に早く解かないと、時間がどんどん吸い取られます。
なので、機械科目の過去問を解くときには、当然ですが時間を測ってください。「問題を解くスピード」を意識しておく必要があります。
法規
実は計算問題にポイントがあります。
法規は覚える暗記が主体だと思われがちですが、法規に関しても、計算問題が重要です。暗記が苦手な人にとっては、比較的類題が多い計算問題は貴重な得点源です。
ですから、過去問においても、計算問題の成否については特に厳しく採点しておく。なんとなく正解しているものはしっかり定着するまで安心しない。という意識が必要です。
たまきが合格するために変えた過去問の使い方
私はプロフィールでも書いたとおり、電験三種に何度か不合格になっています。
不合格だった年度の過去問の取り組み方を見てみると、一言で言えば受動的でした。
- 過去問を解くだけで書き込みや線を引かない
- 効率を考えず、片っ端から問題を問いていく
- 解いたあとは特に復習や知識の再確認をしない
こういった受け身の使い方でした。
過去問が試験勉強で最も重要なのは間違いないです。しかし、過去問も受け身で使っても効果は得られません。
ただ問題を解くのではなく、どうやったら効率的に知識が身につくのか考えながら問題を解くのが大事なのです。
- 過去問を解くだけはなく、使いこなす
- 時間効率が良くなる使い方を常に考える
- 覚えていない知識があるなら、基本書に戻る
また、「複数の出版社の過去問を併用しない」というのも大事だと感じています。
解説が微妙に出版社によって違います。ですから、わからない問題を解く手がかりとして、他の出版社の過去問と併用する人もいるようです。
しかし、過去問に限らず、参考書にも言えるのですが。過去問を使い分けると、自分で記入した、間違えやすいポイントなどの書き込みが分散します。
書き込みが分散すれば、それだけ、普通の過去問を行き来することで、時間を使ってしまいます。
また、解説が違うだけでなく、問題に使用する記号が少し異なるので、理解しにくくなります。
使ってはいけない過去問題集
まず、分野別に別れているものと、本番同様に4科目が年度別に別れている2つのタイプの過去問題集が存在します。
使ってはいけないのは、分野別に分かれているものです。
例えば、何度か受験し、残りの科目だけ合格したい場合。この場合は、科目別の過去問題集を使ってもよいでしょう。
しかし、
- 初めて電験三種を受験する場合
- 電験三種の科目合格をしていない場合
上記の条件では、通常の「年度ごと」の過去問題集を使うのがベストです。
では、なぜ科目別に別れている過去問がだめなのか?
それは、得意な科目をどうしても勉強してしまいがちというデメリットがあるからです。
人間は楽な方に流れやすい生き物です。
無意識でも得意な問題、得意な科目に逃げようとします。
ただ、苦手な分野も少しずつ潰していかないと合格できないのが電験三種です。
科目毎に別れている過去問題集は、科目合格者にとっては優れた過去問題集です。
また、科目別に分かれている過去問は、年度数が通常より多いというメリットもあります。
しかし、時間が無限にある学生ならともかく、社会人になると、学生のようにとにかく膨大な過去問を解く。
という正攻法の勉強はできないです。
過去問題集は何年分解くとよいのか
また、人間の記憶の原理からしても、
新しい問題を多く解くよりも、同じ問題を繰り返し解いたほうが記憶は定着します。
15年分の過去問が収録されているものもありますが、私の経験上、年度数でいえば、直近の過去10年分があれば十分です。
もちろん、15年分を何回も解ける時間があればよいです。
しかし、たくさんの年度を解くことにこだわって、各年度を一回しか解けない。ということになっては、記憶が定着せず、点数に結びつきません。
したがって、10年分を何周か解いたほうが良いと言えるのです。
まとめ
電験三種における過去問題集の使い方は合否を左右します。
受身の使い方ではなく、自分から過去問を「使いこなす」という意識が必要です。
過去問をただ解くのではなく「活用する」という意識で勉強していきましょう。