最近何かと話題の「誰でもわかる電験参考書」は本当に誰でも分かってしまうのか?たまきが自腹購入で徹底レビューしました。

誰でもわかる電験参考書購入画像

誰でもわかる電験参考書研究会ってどんな団体?

市販の参考書は使えない。初学者向けのフォローがなく、分かりづらい解説が多い。じゃあ自分たちで納得できる参考書を作ろうと発足したのが、「誰でも分かる電験参考書研究会」です。

非常に基本的な解説が多く、ページ数が多い参考書を出している印象が強い団体です。

教材概要

まずは、いきなり問題を解くのではなく、基礎知識の確認から入っていきます。画像は理論科目の画像ですが、最初は電気数学の基礎知識から解説されています。

誰でも分かる電験参考書1

問題を解く際のポイント解説も適切に挿入されています。

誰でも分かる電験参考書2

公式については、色で囲うことで分かりやすく表記しています。

誰でも分かる電験参考書3

最後に例題を解くことで各節ごとの知識の定着を確認します。

※利用規約遵守の観点から画像にモザイクを掛けています。

独自チェック項目

1.初学者向けの配慮はあるか?

【19/20点】
初学者向けの配慮という項目でほぼ満点をとっているのは誰でも分かるシリーズだけです。市販の参考書では重要である、基礎知識の解説が充実しています。

初学者向けに電験三種の電気数学の専門書も発刊しています。電気数学に関しては、電気に詳しいプロフェッショナルの教授が、分かりやすい知識を「分かっている人向け」に書いているだけの参考書が多いです。

しかし誰でも分かるシリーズは、しっかりと「初学者目線」の解説がついています。初学者向けの配慮という意味では他の市販の参考書より優れています。

2.無駄な説明がついていないか?

【16/20点】
私が評価している「無駄な説明」とは最短合格に不要な解説がないか?という視点なので、そういう意味では無駄な解説が多いという見方をしています。

ただ、他の参考書のように電験三種の合格に必要のない高度な知識を載せているとか、無駄に分かりにくい図解や豆知識を披露している。という意味の無駄な解説ではないため、ページ数は多いものの、評価は比較的高くしています。

3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?

【16/20点】
重要公式については色の枠で囲ってひと目で分かりやすい構造になっていますね。

参考書という大きなくくりの中で、二色刷り以外の参考書は数があるわけではないのでカラーが使われているという点で貴重なテキストと言えますね。

ただ、PDF教材であるため、重要部分を調べるのに、検索などを使いこなす必要があります。書籍のように一瞬で重要部分を見つけるのは困難に感じました。

本編に目次を挿入していないのも、微妙ポイントです。参考書では目次があるのが当たり前となっていますが、目次がないため書籍のように一瞬では各章を参照できません。

4.合格できるだけの問題数があるか?

【17/20点】
十分な問題数はあると感じました。問題数が多い参考書の代表格として「徹底解説テキストシリーズ」が存在します。しかし、単純に当シリーズは通常の二倍の分量なので、各節ごとに例題がある「誰でも分かる電験参考書」シリーズは例題の数も非常に多くなっています。

ただ、一般の参考書のように、章末問題はありません。

5.改訂は適切な間隔でされているか

【18/20点】
全科目というわけではありませんが、およそ2年毎の改訂がされています。20シリーズの参考書を調査した結果、平均は4年から5年に一度の改訂間隔です。一般的な市販の参考書と比べると、改訂間隔は短いです。

総合点数:86点

参考書に関しては全体的に当サイトは厳しい目で見ています。

参考書をかなりの数レビューしていますが、100点中80点を超える参考書はなかったので、各項目に関しても参考書としての実力が秀でていると言えます。

教材名の長所と短所

メリット

  • 基礎理論・電気数学の基礎までしっかりと解説している
  • 解説の難易度は多くの参考書と比較して優しい
  • インターネット販売を主力としているので、改訂間隔が短い

デメリット

  • 一科目あたり500ページ以上であり、科目によっては700ページを超える
  • 図は白黒がメインで色使いは控えめである
  • 平均的な参考書の価格より1000円程度高い

総合評価

ネット上に突如出現した団体による「誰でも分かる電験参考書」シリーズ。個人が運営しているためか、正直サイトが怪しいと感じさせる部分はあります。

しかし、当サイトではサイトの作りや知名度など「本質」から逸れた話はどうでもよく、参考書の実力で評価しています。

その点からすると、一般的な出版社が発刊している参考書の弱点である「初学者へのフォローが弱い」という弱点を克服した参考書と言えます。

一般的に参考書と言うと、「分かっている人による分かっている人のための」参考書になっていることが多いです。実際20シリーズをレビューすると、「よくわかるシリーズ」や「電験三種やさしく学ぶシリーズ」ですら、最低限の基礎知識を持っている人に向けた参考書であることは明白です。

比較すると、「電験参考書シリーズ」はそもそも、出版社の参考書の弱点を克服されるために作られた参考書です。ですから、膨大なページ数ではあるものの、基礎知識を学ぶ上では十分に充実した解説がされています。

ただ、参考書の二倍以上のページで膨大に解説されすぎているため、学習するには時間がかかりすぎてしまうという欠点があります。各章のまえがきで、知識が身についているならスキップを促す配慮はみられますが、「学習範囲の選択」は利用者が行わなければなりません。

時間を掛けて合格する事が可能なので、お金が無いが時間があるといった学生等には良い参考書といえるのですが、当サイトのスタンスである「最短合格」という目的に合致していないのでおすすめはしません。