ひとりで学べるシリーズの、最短合格という触れ込みは事実なのか?購入した上で参考書としての実力を徹底分析しました。

ひとりで学べる電験三種シリーズ購入画像

ナツメ社ってどんな会社?

電気系の参考書を出版しているだけではなく、実用書・保育書といったまったく畑違いの書籍の出版も手がけている出版社です。1953年設立と50年以上前に設立された企業で歴史もあります。

教材概要

赤シートで隠せることが強みのひとつなので、本文は赤色中心の参考書です。

例題には「解き方ガイド」が存在し、問題を解く方法を導く補足項目として設けられています。

例題では、途中計算も赤シートでしっかりと隠すことができる設計になっています。

「実力養成問題」の解答は、冊子の一番最後に載せる一般的なパターンではなく、科目ごとの最終ページに記載されています。

独自チェック項目

1.初学者向けの配慮はあるか?

【14/20点】
章末問題にあたる、実力養成問題の解答が簡潔すぎるのが非常に気になりました。「徹底解説テキストシリーズ」のような3行解説よりは丁寧に感じるものの、比較的解答の途中計算が丁寧である「これだけシリーズ」と比べると見劣りします。

そういった点で言えば、初学者に対して公式を分かりやすく示しているのは好感が持てます。

しかし、肝心の問題の解答が中途半端・短すぎるため、分からない問題を量産することになってしまいます。解答が丁寧でないテキストでは分からない部分をそのまま放置することになります。結果として実力を伸ばしていくことが出来ません。

2.無駄な説明がついていないか?

【17/20点】
解説するところと解説しないところの分別。区分けについては、同じように電験三種全科目を一冊にまとめた「完全攻略シリーズ」よりも優れていると感じます。

無駄な解説が続きがちな並の参考書と比べれば明らかに無駄な解説が少ないという印象を受けました。

3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?

【16/20点】
重要部分はひとめで分かる構造にはなっています。ただ、赤シートチェックに重点を置きすぎて、問題の途中計算や単語の穴埋めと重要公式の赤文字が混じってしまっています。

途中計算を赤シートで隠せるという着眼点は素晴らしいですが、重要公式と扱いが混ざっているので、すごく分かりやすいとも感じませんでした。

とはいったものの、参考書では黒文字一色の参考書も普通にあるので比較的優れているとしてこの点数をつけています。

4.合格できるだけの問題数があるか?

【17/20点】
理論科目が例題41問。電力科目が41問。機械科目が49問。法規科目が30問であり、参考書全体と比較すると平均よりは多い問題数を扱っています。実力養成問題に関しても、分野ごとに5問前後と少なくない量を扱っています。過去問に移行できるだけの演習量はあると感じました。

5.改訂は適切な間隔でされているか

【11/20点】
5年以上発刊から経ちますが、一度も改訂されていません。出題傾向も5年立てば微妙に異なってくるので、微妙ポイントです。

総合点数:75点

赤文字ばかりで見にくい参考書という印象は拭えません。ただ、赤シートで重要公式や途中計算を隠せるという前提があります。ポイント攻略という題名は的外れでもなく、参考書としては最低基準を満たしているという感じがしました。

教材名の長所と短所

メリット

  • 4科目一冊にまとまっているので、知識が身についている人は扱いやすい
  • 赤シートで問題や途中計算を隠して学習可能
  • 例題が参考書全体の平均より少し多めである

デメリット

  • 赤シート重視のため、全体的に赤一色で見づらい
  • 初学者がこれ一冊で合格するのは無理がある
  • 実力養成問題の解説が短く不親切

総合評価

電験三種の参考書の中では比較的優秀な部類に入る参考書であると言えます。最低限やるべき重要知識の強調・重要公式の枠囲み。さらに例題の充実。

電気資格系を中心に扱っている出版社の参考書より、よほど丁寧だと感じました。売って良い参考書としての最低ラインを満たしている参考書自体少ないのです。

一方で、一冊タイプの参考書というのが曲者です。たまき自身の経験上、初学者が最初から利用すると不合格になるリスクは高くなると考えています。

理由としては、参考書を読んで見れば分かりますが、一冊タイプの参考書はコンパクトに収めることを重視しています。

つまり、何の補強教材もない参考書を使う学習になるので、4科目分離型の参考書より理解がしにくいという欠点があります。

通信講座は薄い教材も、圧倒的なフォロー体制によって解説の不足を補うのですが、参考書にはできません。

一冊タイプの「完全攻略シリーズ」よりは優れていると感じたので、一冊タイプの中で使うなら「ひとりで学べるシリーズ」とはいえます。

ただ、当サイトのポリシーと照らし合わせると、最短合格に適しているとは言い切れないので、当サイトではおすすめしません。