平成30年出版の比較的新しい参考書は「なるほど」と理解して合格できる実力がある参考書なのか、たまきがレビューしました。

オーム社ってどんな会社?

電気系参考書といえばオーム社、オーム社といえば電気系参考書というくらい、電気系の参考書につよい出版社です。電気書院とならび、文科省認定教科書も多数発行実績のある出版社です。

教材概要

最初に問題を解くために重要な知識を一通り確認することから始まります。

例題を通して、試験本番クラスの問題を
解く前に基本的な知識を、順を追って解いて確認するスタイルで知識を定着させます。

章末問題は電験三種本番クラスの問題で、過去問を解くために必要な実力を養成します。

独自チェック項目

1.初学者向けの配慮はあるか?

【13/20点】
初学者向けの配慮として、文字ばかりではなく、枠で囲ったコラムで解き方のヒントを解説したり、うさぎを模したキャラクターと会話形式で解説が進むなどの工夫がみられます。

キャラクターと会話しながら話をすすめる形式は、文字ばかりの参考書と比べて、勉強への抵抗を弱めます。

また、電験に関係のない無駄な会話をさせる参考書もある中で、あくまでも問題や知識の解説しかしていないことも高評価です。

しかし、テキストの内容というと、基本的に四則演算、分数計算、文字式などの基本は習得できている前提で話が進むため、優しくはない参考書です。

2.無駄な説明がついていないか?

【14/20点】

「学習に狙いをつけられる」と裏表紙に書かれていますが、テキストは300ページを超えているので、特別薄いというわけではありません。

電験二種の基本書にもなる参考書を目指しているようですが、そもそも3種を取得していない人が手に取る参考書が「なるほどシリーズ」です。

タイトルにも大きく「電験三種」とあるのですから。

電験三種を合格していない人にとって発展内容の二種の解説は勉強の邪魔です。

そもそも、二種を合格したい人は二種のテキストを手に取ります。わざわざ3種のレベルに合わせた参考書を買いません。

「ねらいをつける」のは自分であり、学習範囲を選定する必要があることが欠点です。

3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?

【16/20点】
重要部分は枠で囲う、本文が始まる前に「重要項目・公式チェック」で確認するなど、見やすい配置となっている点は好印象です。

下線を引くなど、黒字の波線で強調されています。全体的に本文中は黒字化ので、公式で取り上げなかった重要事項については確認しにくいという印象を感じました。

4.合格できるだけの問題数があるか?

【15/20点】
各章あたり、例題が平均2問程度。章末問題として「解き方・実践コーナー」の問題が平均4問程度あるので、例題として一冊70問以上、過去問レベルの問題を一冊で140問以上解くことができます。問題数が多い参考書である「徹底解説シリーズ」と比べると若干問題数が落ちます。

ただ、問題集と名前だけ書いておきながら問題数が全く無い参考書もあります。比べると各章の問題数は比較的多い部類に入る参考書であると言えます。

5.改訂は適切な間隔でされているか

【18/20点】
改訂はまだされていません。平成30年に出版された新しい参考書です。これからの改訂間隔によっては評価を改めます。

総合点数:76点

参考書の点数としては高めです。参考書として駄目すぎる構成もあるなかでしっかりと重要部分の強調、整理がされていました。問題数も多く出版日も近いことから評価が良くなりました。

教材名の長所と短所

メリット

  • 二色刷りでもオレンジと黒なので参考書が明るく見やすい
  • 出題の頻度別に星でレベル分け表記されている
  • コラムでは出題されない場合は出題されないと明記している

デメリット

  • 電験三種レベルではない知識についても多く解説されている
  • 豆知識コラムは学習必須な知識と知らなくてもいい知識がバラバラに解説されている
  • 電気回路図が非常に小さく見づらい

総合評価

参考書としては、あくまで二色刷りの範囲内でということであれば見やすい方に当たると思います。参考書というと原色カラーの参考書も多く、暗いイメージの参考書も多いです。「なるほどシリーズ」は、全体的に薄いオレンジ色で参考書の中では見やすいです。

挿絵も適切に使うことで、対話しながら学習するという感覚にさせてくれます。知識を並べただけの硬い参考書も多い中では工夫されていると感じます。

ただ、2019年上半期現在では全科目の出版がされておらず、一貫性のある勉強はできない状況です。また、あとがきに「学習のねらいがつけられる」とありますが、あくまで狙いをつけるのは「使用者」であり、合格ラインの知識を分けて掲載しているだけです。

総合評価Sの通信講座であれば専門知識のあるスタッフが出題傾向を「分析」し、テキストに「反映」をしています。しかし、「なるほどシリーズ」では電験三種の素人に近い使用者が解く問題を選ばなくてはいけません。

合格を目指すのに70点を目指せる。しっかり活用すれば2種レベルの基礎がつく。方針は良いのですが、電験三種を受験する人の目線に立って考えると、少々使い方が難しい参考書になってくるのかな、というのが正直な感想です。

結論として、当ブログとしては「なるほどシリーズ」の使用をおすすめできません。