電験三種の電力科目のおすすめ
こんにちは、電験三種合格者のたまきです。
今回は、電験三種の電力科目について

「電験三種の電力科目は4科目の中で最初に勉強することは効率が良いか」
「電力科目が4科目で一番簡単と聞いたが本当か」
「電験三種の電力科目の勉強についておすすめの理由はあるか」

という内容について、記事を書いています。
「電験三種で最初の科目選択で電力を選んで良いのか知りたい」
「電験三種を勉強する上で合格者は、最初の勉強に電力科目をおすすめしているのか知りたい」

という人は読んでみてください。

電験三種で最初に勉強するなら電力科目がおすすめという通説について

結論から申し上げると、最初に勉強する科目選びは、電力科目ではなく、理論科目から勉強することがおすすめです。

理由は、各科目とのつながりが強いのが理論科目であり、将来的に理論、電力、機械、法規の4科目を合格しなければならないと考えると、土台となる理論科目の強化が最優先だからです。

他の記事でも何度か触れていますが、電験三種の4科目である理論・電力・機械・法規科目は、知識がすべてつながっており、4科目の中で最も他の科目とのつながりを感じやすく、応用が効きやすいのが理論科目です。

理論科目を最初に勉強することで、他の科目を勉強したときに、知識を詰め込む丸暗記的な勉強ではなく、なぜそうなるのかを理解しながら勉強することで効率の良い勉強に繋がりやすいのです。

よって、最初は理論科目の合格から目指していくのがおすすめといえますが、電力科目を最初に合格を目指す科目としておすすめできるのか?という点について冷静に両面から分析していきます。

そもそも電力科目は何を勉強するのかという前提の話

電力科目の勉強内容については、深く突っ込もうとすればかなり細かくなってしまいます。

そこで大まかに代表的な4つの分野をあげていきます。

  • 変電
  • 発電
  • 送電
  • 配電

電力科目の代表的な分野は以上のとおりです。

発電分野は電気を生み出す設備について、変電所は電気の電圧を変換する設備について。送電分野は高電圧で変電所同士などを送る設備について。

配電分野は、変電所等から、各家庭に電気を送るまでの線路のことについて学びます。

電験三種の電力科目は普段私達が目にする鉄塔や、電柱の上の電線など、どうやって私達の手元に電気が送られているのかを勉強する科目です。普段私達が暮らしている生活に最も近い科目といえます。

電験三種の電力科目をおすすめする理由

電験三種の電力科目のおすすめできる場合

電験三種の電力科目を最初の合格目標としておすすめする理由を考えていきます。

初学者でもとっつきやすい科目が多い

もしかしたら小学生の時の社会見学で発電所やダムなどを見学しているかもしれません。

そうではなくても、配電分野は電柱や変電所など、いたるところにある設備などに関連する項目が多く、まったく電気を勉強したことがない人にも直感的にわかりやすいです。

機械科目などは、全く目にしたことも聞いたこともないという単語を多く目にすることになるので、初学者にとっては、かなり難しさを感じさせます。

電気工事士の資格にすでに合格していた私も、機械科目は勉強したくないという気持ちにさせられたので、初学者にとって機械科目はかなりとっつきにくいです。

ただ、電力科目であれば、ニュースや日常で目にしたことがあるというだけでも勉強する上では内容を覚えやすいです。

勉強の進めやすさという点では、電力科目の勉強は最初に攻略する科目としておすすめできるといえます。

もし電気関係の企業に新卒で就職するなら最終学歴次第でアピールにはなる

例えば、電験三種の知識レベルは、工業高校の電気科卒業程度と言われています。

ただ、「工業高校をかなり優秀な成績で卒業した程度の学力」という条件付きだといえます。

ですので、高卒で例えば電気保安協会を目指しているという場合であれば、科目合格でも評価されることもあるでしょう。

最終学歴が高卒の場合だと、電験三種に求められる学力レベルから、科目合格であっても、かなり勉強を頑張ったと評価を得られるので、
就職に有利とは言えるでしょう。

その場合、まずはとっつきやすい電力科目がおすすめという話も納得できます。

高卒の新卒であれば、科目合格を理由に就職を有利に進めようという戦略の一つとしては有効でしょう。

ただ、これは高卒の話であって大卒だと話は違ってきます。

私は実際に電気インフラ系の企業で働いているのですが、実際に上司に聞いた話として、

「アピールに使うなら合格はしておいてほしい」

という意味合いの話を聞いたことがあります。

工業系大学卒業であれば、科目合格だけでのアピールは電験三種に科目合格しかできていないという印象にもつながる可能性があるので注意が必要です。

ひねくれた計算問題が少ない

計算問題が苦手で仕方がない。見ただけで吐き気がするという場合は電力科目から合格を目指すのも立派な戦略といえます。

というのも、過去問の傾向として、電力科目の計算問題は他の科目と比べて、意地悪な問題が少ない傾向にあるからです。

例えば、理論科目だと、過去問に全く出たことがない問題や、一見見ただけでは全く解けないと思われる意地悪な問題も多く出題されます。

しかし、電力科目は、他の科目と比べても過去問に出題された問題と似たような問題も出やすく、繰り返し問題を解くことで、点数を上げやすいといえます。

計算問題に限っていえば、最初に電力科目を選択することは、計算問題の難しさという点では比較的合格はしやすいといえます。

電験三種の電力科目をおすすめできない理由

電験三種の電力科目のおすすめできない場合

次に電験三種の電力科目を最初の合格目標としておすすめできない理由についても考えていきます。

理論がしっかりしていないと、計算問題で手こずる

電験三種の電力科目がおすすめできない理由のひとつとして、計算問題で嫌というほど手こずるというデメリットが挙げられます。

電力科目から攻略した場合、理論科目から合格を目指した場合と違って、基本的な電気の知識はないまま暗記を中心に勉強してしまいがちです。

暗記する分野は、繰り返し問題を演習すれば点数を上げていくことは可能でしょう。

しかし、電力科目は計算問題も多数出題されます。

電力科目の送電分野の公式は、理論科目の基本的な知識と関連していることも多く、理論科目の知識がないと、公式を丸暗記しざるをえない場面も多くあります。

「なぜこのような公式になっているのか?」

という部分の理解があいまいなまま公式を覚えていくことになるので、理論科目から入った場合と比べて、計算問題の理解がしにくいといえます。

電力科目を選択した場合でも、「なぜ」をおろそかすると他科目での応用が効かない

電力科目をおすすめしない理由の一つとしては、しっかり公式を理解しながら勉強しないと他の科目での応用がききにくいからです。

公式の暗記で他の科目より点数が伸ばしやすいがために、理解が中途半端な状態でも、公式を機械的に丸暗記していけば解けないこともありません。

よって、公式がなぜそのようになっているのかという部分をあいまいにしたまま勉強してしまう危険があります。

私も最初に勉強したときはほとんど暗記に頼った勉強をしてしまっていたため、他の科目との知識がつながっておらず、応用が効かないため問題を少し変えられてしまうと全く解けないという課題がありました。

このような問題は、公式を丸暗記して、なぜという部分を適当に流してしまったために起こる問題です。

よって、電力科目の計算問題を解くときにはなぜを突き詰めてから公式を暗記することが必要です。

知識が独立した状態で受験することになる

知識が独立した状態とは、それぞれの知識が点としてちらばっている状態のことです。

電験三種では、各科目のつながりを意識したほうが合格できる確率は高くなります。

なぜなら、電験三種は異なる科目同士でも、必ず科目同士の知識がつながっています。

送電する際の理論は理論科目の公式から来ていますし、送電線や鉄塔の規定は法規で学ぶ技術基準から来ています。

このように、

各科目とのつながりを考えながら覚えることで、単なる機械的な丸暗記ではなく、本質を理解した勉強に繋がります。

そして、少し問題を変えられて出題されたとしても、応用力があるため、自分で答えまでの道筋を考えやすくなります。

知識が独立した状態だと、それぞれの知識はあくまで他の知識とは切り離されているため、応用力がありません。

そのため、過去問とかなり近い問題は解けますが、少し意地悪な出題をされてしまうと一気に間違える確率が上がってしまうということが起こります。

電験三種の電力科目を選んだ場合のメリット・デメリットの簡単なまとめ

電験三種の電力科目おすすめのメリットデメリットまとめ

ではここで、電験三種の電力科目について、おすすめできるか、できないか?の結論について簡単にまとめていきます。

電験三種の電力科目の攻略を最初におすすめするメリット

  • 初学者でもとっつきやすい勉強内容が多い
  • 最終学歴次第で科目合格をアピールしたい場合に有効
  • 意地悪な計算問題が少ないため、点数を伸ばしやすい

電験三種の電力科目の攻略を最初におすすめできないデメリット

  • 各科目との関連性が薄くなり、応用がしにくい
  • 計算問題で苦労しやすい
  • 丸暗記に頼った勉強になりやすい

電験三種の電力科目を最初に勉強することについての合格者からの意見

私自身もすでにプロフィールにあるとおり、実際に電験三種を活用して、電気の保守の仕事をしています。

その私の意見をいうなら、やはり、電験三種を目指すなら、理論科目から攻めるのが一番の近道と考えています。

実際に仕事を教えていても、勉強した科目選びによって、身についている知識量、応用力に多少差があるという印象を受けます。

  • 理論科目からきっちり勉強して電験三種に合格した人
  • とりあえず得意な科目から攻めていって合格した人

のどちらにも指導したことがあるのですが、やはり現場で理屈をしっかりと理解しながら仕事できているのは理論科目など基礎を固めていた人。

もちろん最終的にどちらも合格しているので、最低限の知識量は変わりないのですが、仕事の応用力には差があると感じました。

これは悪いことではなくて、後者は機械的な知識詰め込み型の学習や、暗記に頼った勉強をしたことが原因で起こったことです。

電力科目は比較的暗記に頼って合格しやすい科目ではありますが、しっかりと理屈を理解しながら勉強すれば問題なく仕事でも活用できます。

ただ、理論科目から地道に進めていった場合と比べて、応用力不足の状態になりやすいと感じたのは事実です。

勉強した結果の知識としては付いているけれども、それぞれの知識が浮いている状態なので、それぞれの知識を仕事に結びつける能力が少し不足している状態です。

ですから、基本的には、数学力強化をして、理論科目を攻略していくという王道の流れが一番おすすめです。

電力科目を選ぶなら電気の基本から入るのが結局近道な理由

電力科目を選ぶなら電気の基本から入るのが結局近道な理由

実際に電験三種を扱う職場で働いていて思うのですが、理論がしっかりしていないと、現場のことを覚えたとしても、

たまに、SNSを見ていると、数学がめちゃくちゃ得意な人が、

「電気のことはよくわかりませんが、公式を転がしていたら合格しました」

という人がごくごくたまにいます。

その方が、実際に電気主任技術者として仕事ができるかというと微妙なところがありますし、やはり電気とはなんぞやという基礎からしっかりと身につけていったほうが、

将来的に仕事をすることを考えた場合は、理論科目から勉強していくことが、最も自分の力になると感じています。

理論科目から勉強するのが不安だという場合でも、基礎からしっかり固められる通信講座を使えば、途中でつまずくこともありません。

たまに、勉強法の本を書いている著者から、

「勉強の順番は関係ない、自分がわかるところから攻めろ」

という風に書いている本もあります。

確かに、理解しやすいところから入るのは正しいですし、そのほうが勉強の進みも良いでしょう。

ただ、どの科目から攻略するか?という話になるとやはり理論科目から勉強していったほうが、各科目とのつながりは一番感じることができます。また、知識を点ではなく線でつなげやすいです。よって全体的に点数を伸ばしやすいといえます。

したがって、理解力、応用力を育てる上では一番の近道になるといえるのです。

まとめ

今回の記事のまとめとして、電験三種の電力科目が最初の勉強におすすめかどうかについて

  • 理想は理論科目から勉強したほうが応用力が身につきやすい
  • 計算問題は他の科目に比べて素直な問題が多い
  • 丸暗記に頼った勉強になりがちなので注意する

以上のことを踏まえて、電験三種の電力科目を最初に勉強するのが自分にとっておすすめかどうか、判断してください。