合格マスターシリーズは、名前の通り合格するまでに電験の学習をマスターできるのか?購入して徹底レビューしてみました。

東京電機大学出版局ってどんな団体?

公式サイトでは難しいことが書かれていますが、簡単に言うと、科学技術を発展させる人間を育て・支えていこうという理念を持つ出版団体です。

教材概要

例題から始まる一般的な参考書の流れではなく、まずは覚えるべき単語や公式を説明してから例題を解くスタイルです。

見開き構成で左に基礎知識、右に例題を載せているのは独特です。

「point」欄では問題を解くために重要な項目が一覧で表記されています。
最後に章末問題を解いて実力を確認するスタイルは他の参考書と変わりありません。

独自チェック項目

1.初学者向けの配慮はあるか?

【10/20点】
初学者向けの配慮はあまりありません。基礎的な数学は理解している前提で本文が進みますし、途中計算も飛ばしています。公式など強調もありません。

見開きで片面に基本知識を載せ、もう片方に例題を載せるというスタイルは良いのですが、片面の解説だけで例題を解くのは無理があるというのが正直な感想です。ある程度昔に電気分野を学習していて、思い出しながら解いていくために作られたような参考書です。

2.無駄な説明がついていないか?

【15/20点】
無駄な説明はついていません。ただ、必要であるはずの途中計算まで飛ばしているのはいかがなものかと思います。

分数であれば、分数を組み立てた後にすぐ解答になっていますし、解説の丁寧さがあまり感じられません。無駄がないぶん丁寧さも欠いている参考書であると言えます。

3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?

【8/20点】
重要部分の強調として、太い黒字で書かれている部分があります。重要語句については、確認しながら学習することはできます。

ただ、公式については何もフォローしておらず、他の例題などと同じく小さいフォントの黒字で書かれているので、いまいち重要性が伝わってきません。

また、電子回路の分野では図が細かすぎて、見づらい構成になってしまっています。

これでは、復習するときにも差し支えますし、最初の学習でこれだけ細かい図を見ながら学習していくのは気が重くなりそうです。

4.合格できるだけの問題数があるか?

【17/20点】
各章の例題で平均20問前後。章末問題で平均15問程度あります。合格できるとまでは断言できませんが、充分な問題数をこなすことはできます。

5.改訂は適切な間隔でされているか

【15/20点】
改訂はほぼ毎年行われています。改訂の内容については、大きくなにかを変えるというわけではなく、出題傾向に合わせるわけでもありません。通信講座の改訂と同等ではなく、あくまでも誤字修正やバランスの修正に重きを置かれた改訂になっています。

総合点数:65点

ちょっと意外な点数になりました。たいてい黒字一色の参考書は診断結果として評価がかなり低くなる傾向にあります。ただ、問題数が多いことや、手直し程度とはいえ改訂期間が短いのでこの点数になりました。

教材名の長所と短所

メリット

  • 最新年度版には、昨年の過去問がついている
  • 過去10年分の出題傾向表がついている
  • 指示計器の解説はコンパクトである

デメリット

  • 全体的に黒一色でとても読みづらい
  • 途中計算は、数学を分かっている人向けのはぶき方である
  • 全体的に図が小さく細かい

総合評価

一年前の過去問が表紙に載っているのは最後の確認として使えるので良いポイントではないかと思います。

ただ、参考書としての実力はいまいちです。黒色だらけの参考書なので、開いてもやる気がおきません。もちろんやる気を出さないのは参考書を使う本人の問題です。

しかし、参考書は使っている人に分かりやすく、解いてみようという気持ちが起こるものでなければなりません。見にくい参考書では半年以上の長期戦になる電験三種を戦えません。

参考書は二色刷りが一般的で、最初から最後まで全て黒色で埋まっている参考書は珍しく、図も見づらくなります。同価格帯で二色刷りの参考書は他にもあるので、使う人にとっては見にくい参考書は大きな欠点です。

さらに高度な数学についてももちろん使われていて、いきなり使ったことのない記号を乱用するなど、参考書としては分かりにくい部類の参考書という印象を受けました。

参考書として使いやすい・学びやすいとは言えないので、当ブログではおすすめできません。