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一般的な参考書より大きめサイズの参考書。伝統ある東京電機大学出版局の書籍は電験三種合格への近道となりうるのか?購入レビューしました。
「東京電機大学出版局」ってどんな団体?
公式サイトでは難しいことが書かれていますが、簡単に言うと、科学技術を発展させる人間を育て・支えていこうという理念を持つ出版団体です。
教材概要
章の始めには、基本知識のまとめがあります。
そして各章には参考書としては多めの例題が続き、解説されています。
どちらかといえば基礎を学び、例題を解くというスタイルではなく、例題を解きながら基礎を学ぶというスタイルの参考書であると感じました。
最後に章末問題を解いて確認するというスタンダードな構成です。
独自チェック項目
1.初学者向けの配慮はあるか?
【12/20点】
あまり配慮はされていません。率直に言うと、最低限の数学は身につけてから取り組んでねというラインの参考書と感じます。
実際、解説でも当たり前のように微分積分などが使われています。冊子後半にある解答を見ても、式の展開や変形は飛ばされている部分が多いです。
数学が苦手であるとか、数学の復習をしていない状態でこの冊子を取り組んでも行き詰まるという参考書であると感じました。
あとは、解説が黒一色なのが気になります。
初学者や数学が苦手な人にとっては、解説も重要な学習範囲です。
重要な解説が全て黒一色なのは微妙ポイントです。解説本文が黒一色なのは他の参考書も同じなのですが、図解ぐらいは二色を使っている参考書も多いです。
しかし、この参考書は図解に関しても黒一色で、本文で見づらかった図解がさらに見にくくなっていると感じました。
2.無駄な説明がついていないか?
【13/20点】
あまりついていない参考書であるとは感じました。特に電子回路分野については、ひたすら豆知識を大量に記載する参考書も多いです。
しかしこの参考書は、あくまでも出題傾向が高い分野の解説に集中しているという感じはしました。ただ、他の参考書と同じなのは、改訂回数が少ないという理由で、全部の範囲を載せるという編集方針です。
他の参考書と同じく、出題範囲全部のせのスタイルの欠点を考慮した点数にしました。
3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?
【16/20点】
これはいいですね。各章ごとに重要知識は最初にまとめて記載されており、分かるようになっています。
ただ、黒一色なのと、重要な図解に関しても一辺5センチ以下と小さく、正直見にくいという印象があります。
4.合格できるだけの問題数があるか?
【16/20点】
問題数を中心に構成されている参考書であり、問題数に関しては結構な数があります。
問題集と書かれていながら例題が3問程度しかないという参考書もあるので、各章に例題が平均10問・章末問題で5問前後あるのは比較的多い問題数だと思います。
5.改訂は適切な間隔でされているか
【13/20点】
改訂はされていませんが、発行年数が2010年なので、ギリギリ現役として使えるかな?という程度です。5年に一度ペースの「これだけシリーズ」や「完全マスター」シリーズと比べると改訂回数は劣ります。これ以上経過するようであれば、使えない参考書になってくるかなという感じがします。
総合点数:54点
正直に行って期待したほど点数は高くなりませんでした。一応、現役として使える参考書であるという点については評価できます。大きく外している評価項目もないですが、特に目立って素晴らしいポイントがないので低めの点数になりました。
教材名の長所と短所
メリット
- 東京電機大学出版局は歴史があり安心感はある
- 参考書としての最低ラインは満たしている
- 図や表の数は多い
デメリット
- 途中計算が飛ばされていることが多い
- 図や表が小さく見づらい
- 高度な数学は解説もなく普通に使われている
総合評価
この参考書の率直な意見は、可もなく不可もなくという印象です。
各項目の初めに重要項目の解説・少なすぎない例題・章末問題での確認といった、参考書としての最低限の基準は満たしている参考書であることは素晴らしいです。
ただ、メリットとしても、これといったものはなく、東京電機大学出版局という名称に惹かれるか、他の参考書より少し大きめなサイズという点に惹かれるということもない限り無理して購入する必要はない参考書であると感じます。
冊子の裏にある通り、図や表は多く記載されている点は評価できますが、その図はとても小さく・見づらいです。
電機数学に関しての基本的な解説もなく、解答では途中計算を飛ばしたり、式の変形を飛ばしたりしているので、初学者が取り組むには不安のある参考書であると感じました。
数学が苦手な人にとってはデメリットの大きい参考書であり、当サイトとしてもおすすめはできません。