参考書の巻末の扉で紹介されていることも多い「徹底演習シリーズ」は電験三種合格にどれだけ貢献するのか?実際と現実をレビューで明らかにしてみた。

電験三種徹底演習の購入画像

オーム社ってどんな会社?

電気系参考書といえばオーム社、オーム社といえば電気系参考書というくらい、電気系の参考書につよい出版社です。電気書院とならび、文科省認定教科書も多数発行実績のある出版社です。

教材概要

最初に基礎事項のまとめから始まります。一覧には重要公式と、知っておくべき単語などがまとめてあります。

例題を解きながら実力を養うスタイルの参考書です。

最後に演習問題で実力を確認する、基本的な流れをふまえた参考書です。

独自チェック項目

1.初学者向けの配慮はあるか?

【6/20点】
まず、初学者向けの参考書ではありません。最初に公式を一覧で確認した後すぐに問題演習が始まります。そして、途中の解説も雑で途中計算はかなり飛ばしていますし、問題を解くための分かりやすい補足もありません。

「着眼点」というコラムで問題を解くために意識するポイントは一応解説されています。しかし、解説についても同様に途中計算は省かれています。ある程度数学ができる人向けの難しい解説なので、初学者はこの本は買わないほうが良いでしょう。

2.無駄な説明がついていないか?

【8/20点】
無駄な説明はありません。ただ、無駄な説明をカットしている代わりに、必要な解説についてもカットされているという印象があります。

それなり以上に理解していないと分からないであろう数学の知識も普通に使われていますし、基礎の電気数学についての説明ももちろんありません。参考書では多く見られるコラム等の補足解説もそれほどありません。

3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?

【14/20点】
重要項目として、各節の最初に公式や重要単語が一覧として掲載されているのはこの本唯一の長所と言って良いかもしれません。ひと目で分かるという点では一定の評価はできます。ただ、他の本と比べると圧倒的に基礎事項の解説が足りません。

また、公式や重要知識を一覧にまとめているのは珍しくありません。多くの参考書で当たり前になりつつあるので、この参考書だけの長所でもありません。

さらに重要な図解についても、黒字中心で見にくくとても小さい表記になっています。分かりづらいという印象は強く持ちました。

4.合格できるだけの問題数があるか?

【16/20点】
問題数は充分にあります。例題だけでも各章10問以上、章末問題として平均4問掲載されています。これだけで充分とは言えませんが、少なくとも問題になれるという意味では必要な問題数はあるかと思います。

5.改訂は適切な間隔でされているか

【12/20点】
2013年に一度改訂されてから、一度も改訂されていません。ただ、5年経っている程度なので、「これだけシリーズ」と同様にこれから改定していくかもしれません。いずれにしても、少し古い参考書です。

総合点数:56点

まず参考書をパッと見た感想として思ったのは、明らかに初学者向けではないなということでした。その後も詳しく本文を読み進めていきましたが、参考書として分かりやすいとはとても言えません。総合点数も相応の点数に落ち着いています。

教材名の長所と短所

メリット

  • 問題の演習を数多くこなせる
  • 問題に過去問の年度が記載されている
  • 例題は問題のあとにすぐ解説がある

デメリット

  • 基本的な知識は身についている前提で解説がされている
  • 図が小さくとても見づらい
  • 高度な数学も普通に使われている

総合評価

タイトルに偽りはない参考書とは思います。実際問題中心に構成されていて、参考書を一周したときの演習量は多いです。

解説についても、分かっている人にとっては無駄がなく、シンプルな解説と言えるかもしれません。

ただ、初学者や数学の苦手な人には明らかに向いていない参考書です。微分積分が当たり前のように使われていますし、途中計算は特にコラムなどで補足することもなく、ざっくりとした解説の飛ばし方をしています。

本書のまえがきには、「分からなくても3回読め」という記載もあります。ただ、わからない部分が3回読んで突然わかるようになることはありません。

あくまでも、何度も問題を解くという練習を繰り返した結果、血肉となり「理解がしやすくなる」だけです。「問題をたくさん解けば分かるようになる」という単純なことではありません。

過去問を大量に採用している点は非常に良いですが、過去問から問題を採用している「だけ」なので、過去問を使えば良い話なのではないか?と思います。

実際、読んだ感想としては、過去問のほうがよほど解説が優秀だと感じましたし、過去問を持っているならわざわざ購入する意味があるのか?と疑問に思いました。

結論として、わざわざ購入してまで取り組む必要はないと考えますので、当ブログとしておすすめはしません。