こんにちは、電験三種合格者のたまきです。今回は、電験三種を目指す者なら一度は手を出しがちな、予想問題集について詳細な意見と結論を書いていきたいと思います。
ちなみに私自身は、以下に書く理由から、合格までまともに予想問題集を使っていません。よって、掲載した画像もかなり昔のものとなってます。
目次
電験三種の予想問題集は本試験では的中しない
予想問題集は本試験の問題を完璧に的中させることは不可能です。
あくまでも過去の出題傾向をもとに、類題を掲載しているだけです。完全に予想するということは不可能ですし、まず、試験センター側も、予想問題には目を通すはずです。
電気主任技術者に問われている能力の一つが、発生した事故、トラブルに対応する能力です。現場では型にはまった事象ばかり起きるわけではありません。
だから過去問と全く同じ問題は本試験で出ないのです。
- 電気主任技術者に求められている能力
- 電気技術者試験センターの心理
- 実際に出題された過去問の傾向
以上から考えても、予想問題集に掲載された問題と、全く同じ問題は出ないと言っても良いです。
よって、予想問題集は的中しないと言えます。
予想問題集の難易度について
これについては、非常に曖昧と言わざるを得ません。私個人の意見では試験問題を解ける実力があれば、当然解けるという結論になりました。
しかし、予想問題集を解く人はそれぞれ、電験三種の知識レベルがバラバラです。
- 予想問題集で山を張っている不勉強な人
- 過去問題集を解きすぎてやることがない人
- 予想問題集を総仕上げに使っている人
という感じで、予想問題集を使う人の知識は本当にまばらですし、予想問題集に何を求めるのかも人によって違います。
ですから、予想問題集が難しいという意見もある一方で、予想問題集は簡単すぎるという意見もあるのです。
つまり予想問題集の難易度については解く人の知識レベルによって異なるという回答しかできません。
的中率という以前に誤りが多すぎる・対応が遅いのが欠点
予想問題集は毎年出されるため、どうしても問題の訂正が多くなりすぎるという欠点があります。
実際、Amazonのレビューではボロクソ言われてます。正誤表にすら誤りがあるというレビューもあり、正直予想問題集の問題自体についての信頼性がないというのが正直なところです。
通信講座などは、仮に誤りがあってもメール対応で素早く問い合わせることができますからね。
予想問題集がなぜ、誤りが多いのか?予算をかけていないためか、製本にかけている人員が少なすぎるのか。詳細な内部事情はわかりません。
解説の間違いへの対応が極端に遅い・期待できないため、そもそも予想問題集は使うべきではないというが結論です。
誤記や、解法のミスが多発していて、それをフォローする体制がないという問題があるかぎり、
「予想問題集を利用するべきかどうか?」
という土俵にすら立てていません。
もちろん私も合格するまでほぼ使ったことはありませんし、今から振り返っても使うべきでないと思います。
そもそも、電験三種の対策として予想問題集を使う理由はない
- 誤りが多いというレビューが多数寄せられている
- 過去問演習以上の対策は存在しない
- 本番のレベルとかけ離れた問題が掲載されているリスク
こういったリスクが有るため、そもそも予想問題集を使う必要がないです。
当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。ということで、やはり予想問題は予想問題であって、それ以上を求めることはできません。
予想問題という名前であるからには、試験直前に解く人がほとんどだと思います。
しかし、試験直前という、合否を最も左右する期間に果たして予想問題集を解いてしまっていいのか?という問題があります。
基本的に出版社の予想問題集が過去問を上回ることはない
電験三種において最も重要なのは過去問です。
過去の記事で、過去問丸暗記で不合格になったという話をしましたが、それでも過去問演習は試験合格のために最も重要だと感じています。
そして、
「予想問題集は余裕があったら解いても良いが、無理してやらなくていい」
という類の問題集であるということがいえます。
で、ここからが問題なんですが、予想問題集が「無理してやらなくていい程度」なのであれば、限りある時間を使うのが無駄ですよね。
試験直前という大事な期間に予想問題集を使う価値は無いといえます。
電験三種の予想問題を客観的に詳細レビュー
経験上、そして、客観的に見て、電験三種の試験において、予想問題集は全く使う価値がない。と、私は考えています。
しかし、冷静にレビューすると見えてくるものもあるでしょうから、ここであえてレビューしておきます。
また、電気書院からも同様に予想問題集は出ていますが、予想問題集をおすすめしないという立場上、最大手のオーム社に絞ってレビューしていきます。
オーム社の予想問題集の概要
予想問題集の本編
オーム社の予想問題集は、4科目が3年分付属しています。
また、問題は過去問そのものではなく、過去問を参考にした新しい問題となっています。
予想問題集の解答
問題と解説は完全に分離しており、書籍の後半にまとめて収録されています。
巻末の付録
巻末には本番と同じ形式のマークシートが付属しています。
独自チェック項目
初学者が取り組むであろう参考書と、電験三種に関する知識が身についた時点で演習する予想問題集とでは、やや性質が異なります。
予想問題集も、一応は参考書のひとつであるため、でんけんぱ独自のチェック項目を採用しています。
しかし、上記の理由により、多くの参考書のレビューとは異なり、他の参考書の評価とは独立した評価としています。
1.初学者向けの配慮はあるか?
直前対策として出版される予想問題集ですから、明らかに初学者向けの書籍ではないです。
これは、予想問題集が、本番前の総まとめとして利用されるものであり、初学者を対象とする必要がないからです。
よって、予想問題集が初学者向けに配慮されていないのは当然と言えます。
2.無駄な説明がついていないか?
コンパクトですね。初心者向けでないながらも、必要最小限度の解説は備えています。
ところどころ解説を飛ばしている部分などが見られますが、予想問題集を利用する人の学力レベルを見ると、参考書を片手になんとか理解できるレベルと感じます。
初学者向けではないので、逆に言えば、無駄に説明がついているということはありません。
3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?
予想問題集は、通常の参考書とは用途や使用状況が異なります。そのため、参考書と同じ視点で評価するのはフェアではありません。
すこし評価項目とずれますが、予想問題集として重要な要素が満たせているかどうかで評価したいと思います。
予想問題集における重要部分とは、
- 試験直前に利用するため、出題傾向が一目でわかるようになっているか?
- 問題集は本番の試験形式に近いか?
- 予想問題集に掲載されている問題と実際に出題された問題の傾向は一致しているのか?
以上になります。
こういった視点で評価した場合、最低限、予想問題集として必要な要素は満たした問題集であるとは言えます。
しかし、問題と解説が完全に分かれてしまっているという点は使いづらいです。1年分の問題のあとすぐに解答を載せないと、ページの行き来が面倒です。
予想問題集は本番の予行練習のような使われ方が多いでしょう。
よって、電気書院の過去問のように、毎ページに解説を載せるということはしなくてよいと思います。しかし、時間効率を考えると、無駄なページ移動は最小限にするべきです。
また、「傾向が一致しているかどうか」については、あたっている分野もあればあたっていない分野もあり、評価も難しいところです。
「出題された問題」という単位で区切ると的中率は恐ろしく下がり、「出題分野」という広い単位で区切ると、的中率は4割弱であるというのが調査結果です。
4.合格できるだけの問題数があるか?
殆どの参考書の問題が、過去問題集の引用になっています。一方で、予想問題は出版社のオリジナルの問題を作成しています。そのため、労力がかかるのか、収録されている問題は多いとは言えません。
問題数が少ないのは、予想問題集の弱点とも言えるでしょう。
5.改訂は適切な間隔でされているか
予想問題集の唯一の長所と言って良いのが、毎年更新されるという点。
当たり前ですが、まがりなりにも「予想」という名前を使っている以上、毎年更新されていなければ「予想問題集」の意味がありません。
総合点数:通常の参考書とは事情が異なるため点数評価しません
予想問題集に関しては、参考書を基準にした点数をつけるべきではないと考えています。
自分の演習後、感じたことを元に、評価するべきと考えています。
最初から、初学者を相手にした問題集ではないので、全体的に不当に低い点数になってしまうからです。また、基準がなく点数化しづらいという理由もあります。ですから、最後に「総合評価」として点数の代わりに、評価を載せています。
予想問題集の長所と短所
メリット
- 過去に出題された問題ではなく新しい問題が解ける
- マークシートが付属している書籍もある
- 出題傾向について学ぶことができる
購入後満足できる人
- 過去問題集の演習は完璧である人
- 通信講座の学習が完璧で、やることがない人
- 解説がおかしい部分があっても、自分で調べて解決できる人
デメリット
- 予想問題集に本番と同じ問題が出るとは考えにくい
- 予想問題集は解説にミスが多い傾向にある
- 過去問を復習する時間が削られる
購入後後悔するかもしれない人
- 過去問題集を10年分3回以上繰り返していない人
- 解説に載っていない部分について自分で調べることができない人
- 予想問題集と同じ問題が本番で出題されると期待する人
総合評価
予想問題集にはメリットが有る一方で、デメリットがそれ以上に大きいというのが総評です。
マークシートが付属している点は評価できるものの、利用する価値がない以上、評価としては高くありません。
「予想問題集をなぜ利用する必要がないのか?」
それは、試験勉強というのは限られた時間の中でどれだけ実力をつけるかの勝負だからです。
最も濃密な勉強をすべき期間に過去問演習を削ってまで、予想問題集を利用する価値はないというのが大きな理由です。
実際、自分が所持している予想問題集においても、ピタリ出題されている問題はゼロであり、例年予想問題集の的中率は低いです。
例えば、予想問題集を利用するのであれば、
- 完璧と言えるまでに過去問を解いている
- 試験の直前期ではない
- あくまで予想としてではなく、実力確認程度で利用する
という条件を満たしてなければ解く必要もないと考えます。
試験の直前期に当たる8月以降に予想問題集を演習することは、良い影響どころか悪い影響すら与えかねないので全くおすすめできません。
電験三種の予想問題集のよくある質問にすべて答えていきます
- 電験3種 予想問題集はオーム社と電気書院どちらのほうが良いでしょうか?
- オーム社も電気書院もどちらも良くないです。強いて言うなら、オーム社のほうが私は好きですが、利用すること自体おすすめしていないです。
- 予想問題集は過去問に比べて難しすぎるような気がします。なぜですか?
- おそらく、本番試験より難しいものにしないと、クレームになるからだと思います。
「予想問題集は完璧に解けたのに、不合格になった」
というクレームを避けるためだと思われます。本試験より難しい方が、出版社にとってはリスクは少ないですから。この件に関しては、想像の域をでないので、簡単に断言するのはやめておきます。
また、予想問題集が難しいのは確かですが、「難しすぎる」と感じるのであればまだまだ実力不足です。予想問題集ではなく、通信講座の基礎テキストに戻ってもう一度勉強したほうが良いです。
- 過去問と並行して予想問題集を使うのはありですか?
- 予想問題集はあくまで、出版社が独自で出した問題。対して、過去問は試験センターが出した問題なので、重要度が全然違います。
ですから、過去問と並行して使うやり方自体おすすめしません。私個人の経験から言えば、予想問題集を解く余裕があるなら、その時間で過去問を繰り返し解くほうが点数は伸びると感じます。
- 予想問題はやはり直前に解いたほうが良いですか?
- 逆です。一番やってはいけないのが、予想問題集を試験直前で解くことです。なぜかといえば、やはり直前期は最も試験に近い問題を解くべきだと考えているからです。
予想問題集はあくまで「予想」なので、試験本番からは少し離れた問題だと感じます。試験直前に、予想問題集ごときに時間が取られるのがもったいないです。
素直に過去問を繰り返しましょう。
- 電験三種は初めて見る問題を解かなくてはいけない。それなら、過去問よりも、全く初めて解く予想問題のほうが有効ではないですか?
- 確かに、電験三種は類題はほとんど出ず、初めて見るような問題ばかりです。
ただ、知識としては過去問で出た解法・知識が出てくることが多く、全く初見という問題ではありません。また、非常に少ないですが、類題も出題されます。
過去問を忘れた頃に解くということが、丸暗記を避け、電験三種に合格するための実力をつける近道だと感じています。解法を染み込ませる作業ですから、初見でなくても問題ありません。
- どうしても予想問題集を使った勉強がしたいです。注意点はありますか?
- 以下の条件に当てはまる場合は使ってはいけません。
- 試験2ヶ月前に突入した場合
- 過去問10年分を3週していない場合
- 通信講座のカリキュラムが十分に利用できていない
以上の条件をクリアしている。つまり、試験まで余裕があり、過去問も完璧に仕上げており、通信講座のカリキュラムも十分に学習が進んでいる。という条件であれば、腕試しに解いても良いと思います。
ただ、私ならその条件でも予想問題集は使わないです。
- 予想問題集でヤマを張りたいので、的中率が知りたいのですが?
- 予想問題集肯定派のブログ・サイトを沢山覗いていますが、本番試験での的中率でいえば、50%もないです。
さらに全く同じ問題が出ることはないので、ヤマを張るということにも使えません。
仮に、ヤマを張ったような学習で合格したとしても、電気主任技術者になってから自分が困りますし、事業者も困ります。基礎から固めるという基本に立ち返るべきです。
電験三種の予想問題集についてのまとめ
予想問題集はあくまでも予想問題集であり、試験前の対策として有効とは言えません。
予想問題に過度な期待をするのはやめましょう。通信講座を利用して、基本に立ち帰った学習をする必要があります。
また、どんな通信講座が良い講座なのかは、以下のリンクより知ることができます。