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資格学校TACの参考書は電験三種合格に使える参考書なのか?購入した上で色んな角度から辛口レビューしてみた。
TAC出版ってどんな会社?
様々な資格の学校を運営しているTACという団体系列の出版社です。電験三種だけの学校ではなく、別ジャンル(会計・医療系など)のスクールも手がけている団体です。
教材概要
二部構成になっており、前半に教科書部、後半に問題集部がついています。
参考書としては珍しくフルカラーであり、重要公式の強調もされています。
教科書部と問題集が別れており、分割することができます。
独自チェック項目
1.初学者向けの配慮はあるか?
【13/20点】
過度現象などの難しい分野について優しく解説するなど、初学者を意識した構成にはなっています。
しかし、解答の質が問題によってバラバラです。しっかりと解説している解答もあれば、乱雑に式を飛ばしすぎている解答もあります。初学者のために考えられた参考書とのことですが、思っていたより初学者向けの配慮は感じられませんでした。
ただ、ラプラス変換・微分積分を使いこなしている参考書に比べればマシではあります。
2.無駄な説明がついていないか?
【16/20点】
参考書にありがちな、無意味な図・解説などは少ないです。しっかりと出るところのみで、無駄な豆知識を挿入しないでおこうという意図は感じられます。
しかし、出題範囲を全て掲載するという方針は、TACの書籍にも共通しており、短期間での合格には向いていない参考書になります。
参考書の分量は一科目300ページを超えており、他の参考書と比較しても少なくはないです。
3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?
【17/20点】
フルカラーのために見やすいです。重要部分にはマーカーをつけていますし、マーカーを使いすぎて逆に分かりにくいと言ったこともありません。
重要である公式について、枠を囲みまとめてある点は高評価です。重要語句についても、しっかりとマーカーで色分けされています。
ただ、カラーであるとはいえ図が小さく見づらい印象があります。
4.合格できるだけの問題数があるか?
【16/20点】
きっちり全てをこなせば合格ラインに到達できるだけの問題数はあるように感じました。
問題数だけで言えば実教出版の「徹底解説シリーズ」と競えるほどの量があります。
5.改訂は適切な間隔でされているか
【15/20点】
判断不可能です。最近出た参考書なので、これからの改訂頻度によって評価が動くかもしれません。ただ、2018年に発刊されたばかりの参考書ですので古くはないです。
総合点数:77点
全体的にフルカラーなので、見やすい参考書ではあるかなと印象です。
他と比較して1000円程度価格が高いという点はあります。ただ、その分収録されている問題数も多いですし、参考書としては一番マシな部類になると思います。
教材名の長所と短所
メリット
- フルカラーなので二色刷りの参考書より見やすい
- 教科書冊子と問題集冊子で別れているので使いやすい
- 重要公式は枠で囲むなど分かりやすい表記になっている
デメリット
- 一般的な参考書の価格より千円ほど高い
- 出題される可能性のある範囲は全て掲載されている
- 解答の途中計算は雑に飛ばしている事が多い
総合評価
今までに見てきた参考書はどれも、「使ったところで合格するのは厳しいだろう」という論外な参考書ばかりでした。
しかし、ようやくレビューするに値する参考書が出てきたなという印象です。特にフルカラーの参考書というのは、二色刷りのその他大勢の参考書とは分かりやすさが違います。問題集編に関しても、一章あたり20問以上。全ページで171問あり、多くの問題を解いていくことができます。
問題集と名乗っているにもかかわらず、問題が全く足りない本もあるなかで、問題数がしっかりと用意されている点は評価できます。
ただ、通信講座のように出題範囲の選定を十分に行っているとは言えません。一科目あたりの学習量は他の参考書とは変わらず、学習する量は膨大です。出題傾向の分析はしているものの、分析のみであり出題される範囲を削っていないので無駄な範囲を結局は勉強する必要があります。
また、例えば分数の計算に関しては段階を踏まずに答えにいきなり飛ばしている事が多いなど、問題集の中の途中計算は、解説が非常に雑であるという印象を受けました。
参考書として最低限求められていることは満たしているものの、電験三種の最短合格を目指す当ブログのポリシー上おすすめできません。