マイナー参考書に当たる「合格への近道シリーズ」は電験3種合格への最短コースになり得るのか?実際を徹底レビュー

弘文社ってどんな会社?

弘文社は資格試験の参考書を扱っている出版社ですが、電気書院などと違いメンタルセラピストや柔道整復師などの多数のジャンルの資格参考書を扱っている企業です。

教材概要

まず最初に重要問題として例題をあげて、必要な知識を解説しながら解いていくスタイルは「これだけシリーズと似ています。

そして、関連問題でさらに深い知識を身につける構成です。

各節には「memo」欄があり、ここで基礎的な知識や、補足事項が記載されています。

独自チェック項目

1.初学者向けの配慮はあるか?

【12/20点】
意外にも微分積分等の高度な数学は使っていない点は高評価です。

ただ、トランジスタ等の電子回路系の問題について、選択問題であると断言してしまっています。最近の出題傾向をご存じの方もいると思いますが、回答必須のA問題にも普通に電子回路は出題されます。

改訂されていないゆえに、初学者にいらぬ誤解を与えます。そう言った点はマイナスポイントです。

2.無駄な説明がついていないか?

【14/20点】
あまりついていません。最短合格のためには無駄な範囲を覚えている暇などないです。その意味で、合格に不要な蛇足をあまり付けずに必要な項目のみ解説しているのは良いポイントです。

ただ、やはり一昔前のテキストなので、出題傾向が反映されておらず、載っている問題についても過去のものが中心です。

出題されにくくなった問題も多くが含まれているので少し減点しています。

3.ひと目で重要部分がわかる構造になっているか?

【10/20点】
#突破のポイント”欄で重要な知識についてわかりやすく記載されています。補足項目である「memo」欄でも、知識を補足するという姿勢は見られます。フレミングの法則など覚えるべき単語については太字になっています。しかし、本文中は全体的に黒一色であり、重要公式については強調も囲みもなくスルーしています。覚えるべき公式に線で囲ったりや色分けがされていないので見づらいです。

また、メモ欄はあくまでメモであり、重要項目を記載する場所としては適さないでしょう。覚えるべき事柄についてもメモ欄を利用して書かれていることもマイナスポイントです。

4.合格できるだけの問題数があるか?

【8/20点】
各節には重要問題と突破問題という2つの問題があります。ただ、各章ごとで考えると10問前後しかなく、章末問題も2問前後しかないので、他の有名参考書である「これだけシリーズ」や「徹底解説シリーズ」などと比べても圧倒的に問題数が足らないです。この冊子だけでは合格できるとは言えない問題数です。

5.改訂は適切な間隔でされているか

【5/20点】
短期合格には過去問題の出題傾向の分析が大事だということは述べられているのですが、2008年に出版されて以降一度も改訂されていません。出版からすでに10年経過しており、出題傾向を掴んだ書籍とは全く言えません。

総合点数:49点

無駄な記述をしない。できる限り初学者がつまづかない程度の難易度にするなどの気遣いは感じられました。ただ、問題数の少なさや改訂の少なさが足を引っ張っており、全体的に点数も低くなっています。

教材名の長所と短所

メリット

  • 無駄な図や解説はあまりない
  • 無意味な勉強をさせない方針のテキスト
  • 例題で知識を確認しながら進めることができる

デメリット

  • 2008年から改訂が一切されてない
  • 図が黒字一色で小さく分かりづらい
  • 載っている問題数が少なすぎる

総合評価

「これだけシリーズ」などのように意味不明な説明や図は入っていません。

前書きでは出題傾向を分析することが大事など、通信講座に通じる考え方が取り入れられています。しかし、出版から十年以上経過しており、最近の傾向を反映しているとは言いがたい参考書です。

ただ、参考書の構成としては珍しく章末問題がほとんどありません。明らかに問題数が足らず、章末問題を除くと、各節に2問程度しか例題がありません。

これでは過去問にスムーズに入ることは不可能でしょう。問題の難易度も過去問とかけ離れており、過去問を見た瞬間に頭を抱えることは目に見えています。

また、電験3種では重要であるはずの公式について強調する表記がなく、覚えるべきかそうでないのかがひと目で分かりません。

基礎項目の解説はよくできている参考書なのですが、問題数が足らず、改訂も10年以上されていないので、こちらの参考書で勉強することはおすすめできません。